臥薪嘗胆

悔しい。この悔しさを何にぶつけたらいいのだろうか。


ゴールラインを目前にして、ペナルティ。続いて、ノーサイドの笛が鳴った。
大雨の中、グランドに倒れ込む選手達。
その差、1点。ラストワンプレー。あと5m走り切れば・・・。


雪辱は果たせなかった。


昨年、この場所で同じ相手に負けた。
あの日を境に、『臥薪嘗胆』を合言葉に1年間やってきた。
新人戦、5月関東予選、6月国体予選、すべて勝ってきた。
今日も、後半20分までは勝っていた。


しかし、最後の最後で・・・。
2年連続同じ相手に準決勝で敗れた。



何が、足らなかったのか?
試合での“たられば”を言い出したらキリがない。


決定的に足らなかったもの・・・それは、“精神的な強さ”だろう。


自分にも他人にも厳しくできない。
そんな精神的な脆さが、追い込まれた状況でつまらないミスとなって表れたように思う。


では、どうしたらいいのだろう?
敗戦のショックと悔しさ、イライラを胸に帰りの車中で一人考えてみた。


そして、一つの思いに至った。
原因は、選手ではなく己の中にあるのではないだろうか?
もちろん、一トレーニングコーチがチームに与える影響は、微々たるものかもしれない。
しかし、チームに関わるスタッフとして、無力さを感じずにはいられない。


果たして俺自身、自分に厳しくできる人間だろうか?
自分に厳しくできない人間が、相手を自分にも他人にも厳しくできる、精神的に強い選手にすることがきでるのだろうか?
相手を変える前に、まず自分を変えなくてはならないのではないか!


レーニングコーチを志す上で、一つの強い思いがある。
「全国制覇するような、強いチームに携わりたい。」


チームの勝ち負けは、単純なものではない。
勝つ時は勝ち、負ける時は負ける。
それは仕方ない。


しかし、その勝ちに向かう過程にこだわることで常勝軍団に関わることができるか、否かが決まると思っている。
その過程で、いかに自分に妥協せず、チームに対して妥協せずに取り組めるか、そこに一つの鍵が隠されているように思う。


『自分に厳しく!』
これが、次の1年のテーマになりそうだ。



最後に、
このチームは3年生が5人にも満たない、2年生主体のチームだった。
奇しくも、それは私の現役時代と似た状況にあった。
私の代も3年生は、5人だった。
そんな共通項もあり、このチームにはどこか特別な想いがあった。
是が非でも、全国の舞台に立ってもらいたかった。
それだけに、非常に残念であり悔しい。

彼らの今後の大学以降での活躍を心から願いたい。